一度体感したかった、世界一幸福度が高い国のスピリチュアルな風景

ヒマラヤ麓に位置するブータン、国土の70%もある自然と共存し、世界一幸福度が高い国とはどんな国なのかを知りたくて2010年4月に行きました。

翌2011年の東日本大震災の後、国王夫妻が日本に国賓として来日されたのは記憶に新しいと思います。

私はまず飛行機でブータンに降り立つ直前の山々の絶景に驚きました。
天気に恵まれたお蔭もあるのですがヒマヤラ山脈がドーンとすぐ近くに鎮座し、圧巻でした。

到着をした当日は高所に体を慣らすために、近くの風光明媚なところを巡りました。
そして民家に泊めていただき、日常食を御馳走になりました。お風呂は石風呂でした。
熱く熱した石を水の中に入れて温度調節をするというものでした。
家の中には仏教への信仰心が高いことがわかる仏具や祭壇がありました。

翌朝、お祈りと朝食のあとブータンらしさを感じる風景を求めて旅を始めました。
各地を訪問してとても印象的だったのが峠でした。

その中でもドチュラ峠【標高3,150m】とチュレラ峠【標高3,988m】の風景は目に焼き付いています。ドチュラには峠に108の仏塔が立ち並び、ルンタという青、白、赤、緑、黄の5色の経典がかかれた布がそこら中の木から吊るされていました。
風に揺らされる度に功徳があると言われているからだそうです。

ちょうど夕暮れ時の蒼い時間帯だったので、とても幻想的でした。
翌朝はさらにそこに霧がかかりより幻想的でした。

チュレラ峠は富士山より高い場所に位置し、亡くなった方への供養としてダルシン(祈願旗)が1万本以上立てられていると言われている場所です。こちらも夕暮れ時に訪れたのですが、夕景とその旗の強風でのたなびきに心しびれました。

人が人を想う気持ちが風景となり、長い年月が過ぎて今となり、そしてきっとこの先もこうして人を想う気持ちの場所が存在しているのだと感じました。

私たちがブータンを訪れた時はちょうど日本の桜のように一面に青紫の花が咲く、ジャカランタの季節でした。
ポチュー川とモチュー川の合流点にあるブータンで一番美しい町と言われる旧首都のプナカはちょうどジョカランタが満開の時期で、町中甘い香りがしていました。

早朝撮影していると頭上も足元もジャカランタの花一色でした。そこへちょうど僧侶の方が歩いて行く姿は映画のワンシーンのようでした。

もう一つブータンで必ず行きたかった場所は旅の最後に残しておいた約3,000mの断崖絶壁にそびえるタクツァン僧院です。

ここは歩いて登るしかないので、重い機材を持って行くのはとっても大変でした。
道中もまさに天空を歩くような場所がいくつもありました。
まさにスピリチュアルな信仰の聖地であり、私の憧れの絶景の地でした。

★もしあなたがいくならば
文章中にもいくつか標高を書きましたが、高地が多いです。
ゆえに行く順番を間違って高いところから行くと高山病になり、せっかくの旅が台無しになると思います。行く前にしっかりと高さと距離を考慮して行きたいところの順路を考えた方がいいと思います。

★道中与太話
きちんと予約が取れていた帰りの飛行機のチケットが、ちょうどサミットで訪れていた皇族の方々が帰国したいとのことで、強制的にキャンセルされている情報を到着した翌日すぐにガイドさんから聞かされました。
私は数名の方を引き連れて撮影のための旅に行っていたので、いつ皆さんにしばらく帰ることができなくなった事実を伝えたらいいのか大変迷いました。

付き添いのガイドさんもかなりブータンでは顔の利く方だったのですが、途中で親族に不幸があったということで、荷物持ちの旦那さんだけを残して帰ってしまいますます困り果てました。
ブータンは国のルールでガイド同行でしか国内を周ってはいけないという決まりがあるのですが・・・。

私は現地ブータンから日本の手配旅行社に何度も何度も相談の電話をし、1泊追加すればインド経由で帰国できることを知り実行するために皆さんに話をしました。
私が企画し、皆さんを誘った撮影旅行なので、インド経由で帰国する航空代金は全額私が負担することで解決しました。ただ不幸は続き、帰国したら、私のスーツケースだけインドの空港で落とされたようで、2日遅れとなりました。
日本では考えられないことが起こるのが海外です。