日本、冬の北海道タウシュベツ橋梁で満天の星空の下2つの流れ星光る

日本にまだこんな別世界の場所があったんだ~。
これが北海道上士幌町の糠平湖にある
タウシュベツ橋梁に初めて訪れた時の感想です。
その時は6月なのに、北海道なのに、34度もあった日中でした。
地面は乾いてひび割れ、そのひび割れた大地のあちこちに切り株が顔を出し、
まるで砂漠の遺跡を見るかのような世界でした。

このとき、ふと思いついたのが全く反対の時期の夜の同じ地の状況を見てみたいという衝動でした。
その想いを実現させるために現地情報を集めてわかったことは、冬は晴天率が90%以上あるが、
マイナス20度以上になる極寒の地であることでした。
でも晴天率が高いということは星と一緒に撮ることができるかもとポジティブな思考に捉われ、
寒さよりも夢をかなえるための準備を開始し、万全の準備のもと真冬の夕暮れ前に出陣しました。

様々な動物の足跡が雪の上にたくさんある森を抜け
凍った湖に到達すると、前方約1km弱の先にタウシュベツ橋梁が見えました。
その後はひたすら湖の上を歩き現地に到達したころには暗くなり始めていました。
その日の気温は約マイナス23度だったことをあとから聞いて知りました。
でもその時は着込んだ服で意気込んで歩き続けた後だったので汗びっしょりでした。
ただ手先と足先だけは冷たく、痛くなってきたのを今でも鮮明に覚えています。

カバンからカメラを取出し、なんとか明るいうちにピントを合わせておこうと三脚を立て
準備を済ませた頃には一番星が輝いていました。
あまり暗くなりすぎると感度を上げるか、露光時間を長くする必要が出てくるので、な
るべく早い時間の星がたくさん見える数分間を狙うつもりで撮影を開始しました。

最初の数枚は明るすぎてまだ星がよく写りませんでしたが、そのうち星が輝きだし肉眼で
も星明かりを感じることができるようになりました。
まさに自分の中に思い描いた時間がやってきたのです。
ただ思いもかけぬ奇跡が・・・。
シャッターを切っている最中に流れ星が一つ、二つ。
えっ、もしかして撮れた?思わず心が流れ星の軌跡とともに動きました。

その時の一枚が今回の作品です。
満天の星空の下では数が多いせいか20分に1個ぐらい流れ星を見た経験を思い出しました。
でも2個同時に全く違う方向に流れていく流れ星を撮影したのは初めてでした。
極寒の地で、宇宙を体感できた地がタウシュベツ橋梁であったことを写真の神様に感謝し
ました。

★もしあなたが行くのなら
私は星と一緒に撮りたかったので満月の日を外しました。
でも新月の日に行くと真っ暗で何も見えないかもしれないので半月の日を選びました。
行ってみてわかったことは、行きはよいよい、帰りは怖いでした。
森の帰り口が全く見えないのです。
目印などないからです。
森に入るとワカサギ釣りの方が通った後が残っていてその道を歩めばいいだけなのですが、
その森の入り口がわからないのです。方角だけではわかりません。
私は無風の日にいったので自分の足跡が残っていたためよかったですが、もし風があれば
帰り道の足跡はなくなっていたはずです。
雪の降る日や風のある日に初めて行くことはやめるべきだと思います。

★道中与太話
文中にも書きましたが、寒いから防寒をしっかりして行くと汗でびっしょりになります。
山用の肌着を着ていっても濡れるとよろしくないので、汗をかかない程度にゆっくり歩く
か、歩くときは上着の前を開けて歩き、現地に着いたら閉めるようにすることをお薦めし
ます。